
日進月歩の勢いでAI技術は、コンテンツの自動生成が可能です。
そこで今回の記事では、AI技術が自動生成するコンテンツについて、種類・用いるアプリ・トラブルを引き起こす著作権問題などを解説していきます。
AIがコンテンツを作り出す仕組みは?
人間が創作するときには、著作者がこれまで見たり聞いたりして得た知識や時間をかけて磨いた技術、才能と呼ばれることもある閃きによってコンテンツが作り出されます。一方でAIの場合、どのようにしてコンテンツを作り出すのでしょうか?ここではコンテンツの自動生成に使われるAIコンテンツジェネレーターの仕組みから、その謎を解説していきます。
AIコンテンツジェネレーターの仕組み
AIコンテンツジェネレーターは、AIが与えられたキーワードをもとにコンテンツを生成するツールです。AIコンテンツジェネレーターがコンテンツを作り出す仕組みですが、まず生成するコンテンツに関するデータを集めるところから始めます。AIと言えども、何もない状態からコンテンツを創造しているわけではありません。最初は人間と同じく何も知らない状態です。集められたコンテンツのデータを学習し、分析することで新たなコンテンツの作り方を習得します。あとは、キーワードや未完成のコンテンツを入力すれば、キーワードに沿ったコンテンツや完成されたコンテンツが作り出されます。
AIがデータを分析して学習することを機械学習といいますが、機械学習にはデータの内容を判断させるモデルと入力したデータから疑似データを生成するモデルがあります。AIコンテンツジェネレーターの機械学習は、生成モデルに分類されます。画像を作り出す生成モデルの場合、学習アルゴリズムには敵対的生成ネットワーク(GAN)や拡散モデルなどがあります。かつては敵対的生成ネットワーク(GAN)が主流でしたが、近年では拡散モデルを使用することが多くなっています。
拡散モデルとは、学習するデータにノイズを加えておき、そこから復元する方法を学ぶ学習アルゴリズムです。拡散モデルを習得すれば、AIコンテンツジェネレーターは与えられたキーワードや低解像度の画像から実際には存在しない画像を作り出せるようになります。従来の敵対的生成ネットワーク(GAN)と比べて、精度の高いコンテンツを作り出すことができ、人間の作ったコンテンツとの区別がつきにくくなっています。
AIが作り出せるコンテンツは?
AI技術を用いれば、さまざまなコンテンツを自動生成することができます。
ここではAIが作り出せるコンテンツについて、その種類と特徴を解説していきましょう。
顔写真
AIは、顔写真を作り出すことができます。顔写真に写る人物は、人種・性別・年齢・髪の色や長さ、目の色などを自由に変える事が可能です。AIは、この世に存在しない人物の顔写真を作り出せます。存在しない人物であっても、一見すると自然で本物の人間と見分けがつかないほどの精度です。AIの作り出した顔写真は、SNSなどのプロフィール画像としても使えます。不特定多数の人に、自分の顔写真を公開したくないときにプライバシーを守る手段として最適です。
しかしながら、詐欺サイトのプロフィール写真に存在しない人物の顔写真が使われる可能性もあります。また、この技術を応用すれば動画に出ている人の顔を差し替えることもでき、その人が実際に言動を作り出すことも可能です。AIによる顔写真の生成が悪用される事例が少なくないので、SNSなどで見かける顔写真が本物かどうかを疑う気持ちを多少は持った方が良いでしょう。
風景
海や山といったキーワードを入力すると、AIがキーワードにあった風景を自動生成してくれます。膨大な数の風景写真を学習データとして読み取り、自動生成しているのでキーワードを少し工夫するだけで、結果が大きく変わります。例えば、山の画像をつくるときでも、夕日に染まる山というキーワードにすれば赤く染まった山が生成されることになるでしょう。また、落書きのようなイメージイラストを入力することで、本物そっくりの風景を作り出すこともできます。
絵・イラスト
AIが自動生成するコンテンツの中で、絵・イラストは注目を集めています。使い方は簡単で、パソコンやスマートフォンから、絵・イラストの自動生成をするサイト、SNSのアカウント、アプリを立ち上げます。そして、書いて欲しいモチーフや画風を入力すれば、絵・イラストがつくられるという具合です。AIによる絵・イラストの自動生成ができるアプリとサービスは、無料版と有料版があります。無料版は、自動生成の回数や機能に制限が設けられていることが多いので、操作性や絵・イラストの質を高めたいというならば有料のものを選びましょう。
文章・小説
文章・小説も、AIで自動生成できるコンテンツのひとつです。文章を入力すればAIが文脈を読み取り、続きを書くことができます。小説の場合、登場人物や作品の舞台となる場所と言った設定が重要ですが、それらのデータを入力しておけばAIが反映してくれます。また使いたい文体やセリフと地の文のどちらを優先させるのか、といったことも指定できます。文章表現などに不自然さが見えることもありますが、編集をすることでAIに学習させることができ、精度を高めることも可能です。人間の書いた文章・小説ほどのクオリティはなくとも、人間には考えつかないアイデアをAIの文章・小説から学ぶことができるでしょう。
音楽
音楽のジャンルや長さなどを指定したり、未完成の楽曲を入力したりすることで、AIが音楽を自動生成してくれます。既に完成した音楽の編曲もできるので、サビの変更なども自由自在です。これまで楽譜が読めない、あるいは楽器が弾けないからと作曲を諦めていた人は、AIに自動生成してもらうことで夢を叶えられます。音楽の自動生成ができるアプリやサービスには、無料版と有料版があります。有料版は豊富な機能が使えるだけでなく商用利用が認められている事が多いので、動画配信やラジオCMなどビジネス目的ならば有料版を選びましょう。
その他
AIが自動生成できるコンテンツとして、他には広告があります。大量のデジタル広告をAIに学ばせ、その中から宣伝効果の高いものを選び出し、素材に用います。人間が広告を制作する場合、ターゲットに合わせてさまざまなデザインを考えなければいけませんし、宣伝効果を予測するのも簡単なことではありません。しかし、AIによる自動生成であれば、短時間で完成しますし宣伝効果の予測も高精度で行なえます。広告のパフォーマンスを高めるAIは、広告を制作するクリエイターにとって大きな助けとなるでしょう。
最近話題のAIお描きアプリ

最近、SNSでAIお絵描きアプリの面白さが広まったことで話題になりました。ここでは、注目のAIお絵描きアプリについて、基本的なことの解説から代表的なアプリの紹介をしていきましょう。
AIが絵を描く、イラスト自動生成アプリ
これまでSNSやブログに掲載されている絵・イラストは、人間の手で描かれた作品ばかりです。しかし、イラスト自動生成アプリの登場により、AIが描いた絵・イラストも数多く掲載されるようになりました。イラスト自動生成アプリの使い方は、AIに描いて欲しい絵・イラストに関するキーワードを入力するだけです。しかし、キーワードを元に、どのような絵・イラストを描くのか完成までわかりません。キーワードをより詳しくしたり、作風を指定することで方向性を持たせることはできますが、出来上がったものが予想とはかけ離れたものになる可能性もあります。また、同じキーワードを入れても、2回目、3回目は違った絵・イラストとなるでしょう。
イラスト自動生成アプリの登場により、絵・イラストの上手な描き方を知らない人でも、短時間で絵・イラストをつくれるようになりました。場合によっては、プロの作品と思えるほどのクオリティを持った絵・イラストをつくれるということで、プロがAIに描かせてみた絵・イラストも存在します。AIは学習を重ねることで進化していくので、今後AIが自動生成した絵・イラストのクオリティはさらに高まることが予想されるでしょう。
AIピカソ
AIピカソは、株式会社AIdeaLabのお絵描きアプリです。テキストを入力し作成ボタンを押せば、Stable DiffusionというAIが絵・イラストを自動生成します。参考にして欲しい人物や動物がいるときには、テキストと一緒に画像を入力すれば、そのイメージに合ったイラストが自動生成されるでしょう。AIピカソは無料で利用でき、利用回数の制限はありません。
LINEの「お絵描きばりぐっどくん」
LINEの「お絵描きばりぐっどくん」は、学生エンジニアの西野さんが開発したLINEアプリで使えるサービスです。LINEアプリを端末にインストールして、「お絵描きばりぐっどくん」を友だち登録すれば使えるようになります。あとは、トーク画面のメッセージで描いて欲しい絵・イラストを表す言葉を送れば、自動生成されます。無料で使えるサービスで、1日の上限は1アカウント10枚までです。0時になれば、回数がリセットされるので続けて描いて欲しいときには日付が変わるのを待ちましょう。
Dream by WOMBO
Dream by WOMBOは、AIアプリケーション企業WOMBOの開発したお絵描きアプリです。アプリをインストール後、描いて欲しい絵・イラストを表すテキストを入力してから、絵・イラストのテイストを指定します。最後に「create」というボタンを押せば、自動生成が実行されます。Dream by WOMBOは、UIが英語ですが入力するテキストは日本語にも対応しています。アプリは無料で使えるようになっており、枚数制限もありません。英語表記のアプリということで二の足を踏む人もいるでしょうが、自動生成のためにやることは日本語表記のアプリと大差がないので気にする必要はないでしょう。
AIコンテンツ無断利用などによるトラブル

手軽につくれるAIコンテンツですが、学習データとなる絵・イラストや文章などを権利者に無断で収集すると、著作権の侵害だということでトラブルに発展することがあります。AIコンテンツ無断利用などによるトラブルについて、詳しく解説をしていきましょう。
SNS上でのAIコンテンツ無断利用トラブル
SNS上では、プロ・アマを問わず数多くのユーザーが自分が描いた絵・イラストを掲載しています。その絵・イラストを著作者に無断でAIに学習させ、類似した絵・イラストを自動生成するサービスがあるということが話題となりました。件のサービスを利用すれば、AIが他人の絵・イラストを参考にして描いたにも関わらず、AIに指示を与えたユーザーが自分の絵・イラストだと主張できるということでサービスへの批判へと繋がりました。そういった声を受けて、開発陣はサービスを一時的に停止し学習データに使われた絵・イラストの公開など不正利用対策を強化しました。開発陣が著作権侵害となりかねない行為に対して、即座に対処したことでトラブルが収束しましたが、SNSを活用するイラストレーターのAIに対する警戒感は以前よりも高まったと言えるでしょう。
AI学習禁止問題
ネット上の絵・イラストが、お絵描きアプリ・サービスのAIが学習するデータとして用いることが広まり、SNSでは「AI学習禁止」という文言をプロフィールに入れる人が増えました。SNSに掲載した絵・イラストは、不特定多数に公開しているものだとはいえ、権利者は著作者です。しかし、SNSに記載した「AI学習禁止」に法的拘束力はありません。また、AIが機械学習するという行為は、日本著作権法にある著作物の情報解析にあたるため違法ではなく、著作者の意見がどうであろうとも続けられるでしょう。
AIで作られた「新型災害デマ」
AIの作る画像が、本物そっくりのクオリティであることで、これまでになかった「新型災害デマ」が登場しました。2022年9月に静岡県で豪雨災害が起きたときに、被災現場の画像としてSNSに掲載されたものが、AIの作った画像だったのです。偽物の被災現場の画像を見た人の中には、本物だと信じ込む人も居て、事実とはかけ離れた情報が拡散されました。これまでも、災害が起きるたびにデマが流布することがありましたが、「新型災害デマ」に騙される人が多いと、社会は混乱し被災地の復興が阻害されてしまいます。災害時には、情報の発信源を確認したり別の情報源を探したりして、信頼できる情報だとわかるまでは拡散するのをやめましょう。
AIイラストのファンアートに注意喚起
AIのお絵かきアプリ・サービスを使えば、誰でも簡単にファンアートをつくれます。しかし、AIファンアートの場合、著作権侵害となる可能性があり、それを自作のファンアートと誤解した企業やアーティストが取り上げることでトラブルに発展する恐れがあります。有名VTuberもAIファンアートに対して注意喚起を行っており、SNSなどに掲載するときにはAIファンアートであることを明記すること、アーティストの専用ハッシュタグを使わないことなどをルールとして呼びかけました。
好きなアーティストを応援するファンアートですが、それによってアーティストに迷惑をかけることもあるので気をつけなければいけません。
AIの創作物に誰が著作権を持つ?
AI技術により自動生成したコンテンツでトラブルとなりやすいのが、著作権問題です。
AIの創作物に誰が著作権を持っているのか、よくわかっていない人もいるでしょう。
ここでは、創作物を3つに分類して解説します。
人による創作の場合
人の手で作り出した創作物の場合、AIによる創作への関与がなければ著作権を持つのは著作者です。著作権があれば、著作者は自由に創作物を複製したり、公に上演したりできます。
AIを道具として利用した創作
AIを道具として利用し創作した場合は、創作の主体となる人間が著作権者になります。道具として利用したと認められるのは、人間が関与する部分が多いときです。AIの学習、コンテンツの生成、仕上げ作業をすべて同じ人が行えば、創作物に人の創作意図と創作寄与があったと認められます。
完全なAIによる創作
話題になったお絵描きアプリのように、簡単な指示を与えて作り出された創作物については創作意図が認められません。また、著作物の定義である「思想又は感情を創作的に表現したもの」ですらないため、著作物の対象から外れます。したがって、完全なAIによる創作の場合、その創作物の著作権は誰も持っていないということになります。
著作権・商用利用OKな”INAIMODEL”をおすすめ!

広告に使うモデルや企業のイメージキャラクターとなる人物の画像を探しているならば、「INAIMODEL」の利用をおすすめします。
INAI MODELは、写真素材販売を行うイメージナビ株式会社とAIベンチャーの株式会社データグリッドが共同開発した実在しないモデル・バーチャルヒューマンの画像を提供するサービスです。著作権は問題なく、商用利用OKということで気軽に利用できます。INAI MODELでは、敵対的生成ネットワーク(GAN)を用いることで、本物の人間と見分けがつかないほどのクオリティを持ったモデル・バーチャルヒューマンの画像を生成しています。利用目的に合わせて性別や年齢などを自由に変えられるので便利です。
AIの作り上げたモデル・バーチャルヒューマンの画像ですから、人間と違い使用許可を得るために本人や事務所と契約をする必要はなく、クレーム対応などの管理も不要です。撮影や3Dモデルを作成する手間も不要で、衣装やポーズを自在に変更でき、コスト削減・納期の短縮が可能です。また、年月が経っても衰えることのない姿の人物画像を、長く使えることも魅力です。
今後、リアルなAIモデルをビジネスで活用する展望があれば、イメージナビ株式会社の「INAIMODEL」についても導入を検討していただければ幸いです。