
今後のビジネス展開が見込まれるメタバースで注目されるのが、バーチャルヒューマンです。
バーチャルヒューマンなどのDX技術はアパレル業界に寄与するといわれます。活かす方法や実際の活用事例をご紹介します。
そもそもDXとは

DX・メタバース・バーチャルヒューマンと、デジタル技術の革新は目覚ましいものがあります。次々と新しい技術や施策が出てくるので、うまく咀嚼できないまま、時が経過しているという方も多いようです。こちらで、そもそもDXとは何なのか、メタバースとの関係性などを整理しておきましょう。
DX(デジタル・トランスフォーメーション)とは
DX、つまりデジタル・トランスフォーメーションとは、デジタル技術を使い、これまでのビジネスモデルや企業文化などを変革することを指します。DXの推進について経済産業省は、「デジタルガバナンス・コード2.0」といわれる指針を発表し、随時更新しています。その中に記載されている定義では、企業が事業環境の変化に対応しつつ、社会や顧客のニーズをくみ取り、新たなビジネス展開を進めていくために、蓄積したデータやデジタル技術を活用することが、DX本来の目的としています。
DXは、時代の流れや社会のニーズを考慮して競争力を強化するためにデジタル手法やツールを用いることがポイントになります。デジタル技術ありきの取り組みではない点を理解しておくと、方向性を間違わずにDXを推進できるに違いありません。
共有の仮想空間を意味する「メタバース」とは
メタバースは、デジタル技術を活用し、インターネット上に構築された3Dの仮想空間のことを言います。メタバースが広く認知されたきっかけとなったのは、人気ゲーム「あつまれどうぶつの森」かもしれません。こちらのゲームでは、仮想空間上にある無人島で、自分の分身となるアバターを使い、そこに住む動物や住民と交流したり、イベントに参加することができるようになっています。現実社会では、地理的な要素などで交流が限定されますが、メタバースでは、これまで接点がなかった世界中の人とつながれる点が魅力です。新たな出会いが新たなビジネスチャンスを生むと考え、IT企業などを中心にメタバースへの投資を増やす動きが加速しています。
DXとメタバースの違いとは
DXとメタバースとの違いですが、DXは目的であり、メタバースは手段ということができるでしょう。前述でも触れましたが、DXは「デジタル技術を使ってビジネスモデルや社会を変革する」というものです。対してメタバースは、「デジタル技術を活用して登場した新しい空間」と表現できます。DXを実現した一つの形がメタバースと考えると、メタバースを通してDX推進のメリットを垣間見ることができるでしょう。メタバースを使った取り組みは、ITなど限られた業界だけでなく、医療を含むさまざまな分野に広がっています。メタバースの実例を見ていくと、DXを成功に導くのに役立つ方法や、ビジネスなどに展開するイメージがわきやすくなるかもしれません。
会議・商談
会議や商談でIT技術を使うというと、新型コロナウイルス感染拡大で台頭したビデオ会議システムを思い浮かべる方もいるかもしれません。確かに、オンライン会議システムは、対面での接触が制限される状況で、コンタクトを取りやすい有用なツールとなりましたが、メタバースで実現できることとは一線を画しています。
メタバースを会議や商談に活用すると、中身の濃いディスカッションが生まれ、新たなアイデア創出など、ビジネスの成功につながりやすいようです。メタバース上で行われる会議や商談では、アバターとして参加することに加え、会議室内にあるホワイトボードを使って意見を書き込むなど、人とリアルに接する感触が得られます。その点が、人の感情に訴え、意思決定に作用する可能性を高めます。
バーチャルオフィス
バーチャルオフィスは、仮想空間に作られた疑似的なオフィスです。バーチャルオフィスを展開する企業に所属している社員は、バーチャルオフィスに自分自身のアバターをログインさせることで、疑似的に出社できるようになっています。バーチャルオフィスを使うと、それぞれの社員がどこにいて、どのような状態なのか、皆が一目でわかります。オンライン会議システムでは社員一人一人の状況が把握しづらく、コミュニケーション機会の喪失や、生産性低下の可能性が指摘されています。そのため、オンライン会議システムからバーチャルオフィスにシフトする企業も多くなっています。バーチャルオフィスは、リアルなオフィスに必要な賃借料や光熱費などをカットできることも利点です。
広告配信
広告配信にメタバースを活用すると、利用者の興味を引く配信が可能になります。メタバースは、利用者の没入感を誘う媒体です。単なるポップアップ広告や動画広告にとどまらず、ストーリー性のある広告を打ち出せるため、広告の世界観に共感してもらえれば、見込み客となる可能性が高まります。
また、利用者の趣味趣向を意識した広告を配信できる利点もあります。この点をうまく活用しているのが、ゲーム業界です。メタバース上にゲームを展開し、ゲーム内で自然な形で広告を出現させ、商品やサービスの購入につなげています。旅行や体験型のコンテンツを販売する企業は、利用者が疑似的な体験をできる場としてメタバースを活用しています。メタバースにより、広告だけでは伝わりづらい部分を、利用者がリアルに体感できるのが魅力です。
ショッピング
メタバース上に、現実世界と同様の街を作り、実際にお店に入ってショッピングできるようにしている企業もあります。その一つが、日本の「三越伊勢丹ホールディングス」です。こちらの企業が運営する「REV WORLDS」という仮想空間では、利用者がバーチャル店舗で実際に商品を購入できます。サービス展開を始めてから1年半以上が経過した2022年12月には、バーチャル店舗からECサイトに遷移するパーセンテージが、従来手法のメルマガやバナー広告に比べ、約3倍ほど高くなっていると報告されています。利用者の購買意欲を高めるのに、メタバースが一役も二役も買っていることがわかります。
ライブ・展示会
地理的な制限がかからず、没入感がメリットのメタバースは、ライブや展示会などに向いているとされます。アクションゲーム開発を得意とするアメリカのEpicGames社は、2017年に公開されたオンラインゲーム「フォートナイト」で、ライブや展示会を行い、世界中の利用者を集客しています。知名度が高いラッパー、トラビス・スコットを迎えたフォートナイト上のライブは、同時接続数が1,230万人に達するなど、成果を上げています。
日本のエンターテインメント業界でも、メタバースを利用する動きは広がっています。米津玄師や星野源が行ったオンラインコンサートでの集客力は目を見張るものがありました。ライブやコンサートは、集客が見込める大都市圏で行われるのが一般的ですが、コンサート会場に来れない地方の掘り起こしは、メタバースの優位性が光ります。
アパレル業界は、DX推進でこう変わる

世の中でDXが盛んに議論されている中、その波にうまく乗り切れていないといわれるのがアパレル業界です。アパレル業界でDXを推進すると、多方面に波及効果があるとされます。こちらでは、メインとなる3つの点を取り上げて考えます。
在庫、人員データ管理の効率化
デジタル化が進んだ社会で、アパレル業界が抱えている問題の一つが、収集したデータの管理です。消費者の行動は変化しており、試着したい時は店舗で、その他はネットでといった具合に、同じブランドであっても複数の購入方法を巧みに使ってショッピングを楽しんでいます。多様化する消費行動ですが、ショップ側はその全体像を把握しておらず、チャネルが異なる消費者の情報を一元化できていないケースもあるようです。情報の一元管理はDXの得意とするところです。各チャネルの情報をより幅広く収集できれば、一人一人に合った接客や提案が可能になるに違いありません。
加えて、アパレル業界では商品の余剰在庫が問題になっています。売れ筋を予測して在庫を確保しますが、予想が外れると商品をさばき切ることができず、大量の在庫を抱えることになります。大量の余剰在庫は廃棄や投げ売りのような形で商品を手放すしかなく、企業の収益を悪化させ、SDGsに逆行するとの批判につながってしまいます。RFIDタグなどを活用して各店舗の在庫状況をリアルかつ一元管理し、AIを使ってより正確な売上予測を導き出すと、収益率を上げるとともに、店舗スタッフの負担を軽減できます。
VMDのスピード、質の向上
顧客に商品を購入してもらうためのマーケティングを視覚的に行うVMDは、アパレル業界の定石になりつつあります。VMDは、クラウドサービスを使うことで本社の意思決定を店舗に展開したり、逆に店舗で得た情報を本社にアップしたりと、スムーズに行えるようになります。通信技術の発達で、画像など比較的重たいとされるデータも問題なくアップロードできるようになっており、今後は、動画やVRを使ったVMDも増えていくと予想されます。さらに、店舗間で異なるVMDを展開して検証し、最も効果のある方法を見つける取り組みも行われています。
より良いサービスの提供
DXを活用してリアル店舗とオンライン店舗のナレッジをため、共有していくと、サービスを良い意味で均一化させることが可能になります。例えば、リアル店舗では接客やコーディネートの成功例などの情報を収集し、それらを元にオンライン店舗でレコメンドとして掲載できます。動画やVR技術を使い、商品をわかりやすく説明するなどして、サービスのクオリティを上げられるでしょう。
アパレル業界のDX活用事例とは

DX推進により実現可能になることをイメージできたところで、アパレル業界で実際に行われているDX活用事例を見てみましょう。
KDDI:バーチャルヒューマンなどを活用
アパレル業界では、商品の企画やデザインサンプル作成の際に、多くの時間とコストが投じられます。また、廃棄される布地の量も無視できなくなっています。それらの点を解消するのが、KDDIがアパレル業界向けのDX支援に掲げるバーチャルヒューマン技術です。人を模した「バーチャルヒューマン」に高精細な3DCGで作成された衣服を着せ、姿勢の変化による服の動きや素材・コーディネートを確認できるスマートグラスを使い、試作時の人的・物的・時間的資源を最小限に抑えることができます。
バーチャルヒューマンや関連するデジタル技術を使ったKDDIの取り組みは、2021年9月に行われた、ミラノファッションウィークで初披露されました。今後は、企画やデザインのみならず、販売やプロモーション、生産など、服飾のサプライチェーン全体に向けた支援を展開するとしています。
FABRIC TOKYO:オン/オフラインの融合
FABRIC TOKYOでは、企画した商品を消費者とダイレクトに取引するD2Cブランドの立ち上げの際、既存のリアル店舗とECサイトの垣根を取り払う「オン/オフラインの融合」にDXを活用しました。どのチャネルであっても統一された体験ができるものの、チャネルごとに顧客のニーズに合わせたコミュニケーションがとれるビジネスモデルを構築するのにDXの力が役立ったようです。
D2Cでは、工場との連携やECの活用がカギになりますが、アナログだったサプライチェーンをデジタル化し、ECから収集したデータで分析を行うマーケティング手法を確立することにより、意思決定がスムーズかつ正しい方向性で行われるようになりました。一度採寸した後は、スーツであってもオンラインでのオーダーが可能になるので、リアル店舗に行けない多忙な顧客にも好評です。
ZOZOTOWN:通販でも安心して買える
ZOZOTOWNでは、顧客が商品を選び、身長や体重を登録すると、その人に合ったサイズの服を提案する「マルチサイズプラットフォーム(MSP)サービス」を展開しています。このサービスにより、通販で購入した服が、サイズは違っていないのに自分には合わないというギャップを極力取り除けるので、安心してオンラインサービスを利用できるようになりました。MSPは、顧客の安心感や利便性の向上にとどまらず、服を提供する側の負担軽減にもつながっています。例えば、電子メジャーで検寸した結果を関係者で共有することで、検寸結果のダブルチェックや服の製造過程の効率化を実現しています。
ユニクロ:情報製造小売業を掲げる
アパレル業界では、ブランドから商品を仕入れ、店舗で販売するのが一般的でしたが、消費者ニーズに立ち返り、消費者が求めているものを作るビジネスにシフトしたのが、ユニクロです。消費者ニーズにフォーカスするうえで役立っているのが、DXによって発掘された顧客基盤です。購入履歴を含めた顧客情報を元に、必要なタイミングで、求められているものだけを製造・流通・販売することで、顧客満足度を高めつつ収益に結び付けています。ユニクロのDXの進化は止まらず、検索エンジンやAIの活用を目的に、大手IT企業・Googleとの協業も進めています。
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