バーチャルヒューマン活用による企業戦略を考える!

近年、企業広告などで実物と見分けがつかないほど精巧なCGの人間が見られます。このようなバーチャルヒューマンを活用する企業は増えていますが、今回はバーチャルヒューマン活用による企業戦略を解説します。

バーチャルヒューマン活用のメリットって何?

バーチャルヒューマンとはCGで作られた人物のことで、デジタルヒューマンやデジタルクローンと呼ばれることもあります。企業がプロモーションにバーチャルヒューマンを起用する例もあり、注目を集めています。では、なぜ企業は普通の人間でなく、バーチャルヒューマンを活用するのでしょうか。それはバーチャルヒューマンならではのメリットがあるからです。

コスト削減(モデルの費用・撮影費用・管理費用)

 バーチャルヒューマンのメリットの1つが、コスト削減に繋がる点です。例えば、企業の広告に人間のモデルを使う場合、モデルのキャスティング費用や撮影費用など様々なコストがかかります。モデルのキャスティング費用はモデルの所属事務所や人気・知名度、外見や表現力などで異なりますが、事務所所属モデルに依頼する場合は少なくとも1時間1万円はかかるのが一般的です。多数のメディアに出演している知名度の高いモデルなら、1時間で10万円以上かかることもあるでしょう。フリーランスのモデルを起用すれば、1時間数千円程度の費用で抑えられる可能性はありますが、フリーランスでも知名度が高いモデルなら事務所所属のモデルよりキャスティング費用が高くなる場合があります。

こうしたモデルの費用に加え、撮影費用(スタジオ代、カメラマン代など)もかかってきます。プロのカメラマンに依頼した場合は半日(約3〜4時間)で4万円程度、1日(全日7〜8時間)では約8~9万円かかると言われています。カメラマンに遠方から出張してもらう場合、出張のための交通費や宿泊費も別途必要になるでしょう。このように、人間のモデルを使った撮影では、モデル費用や撮影費用などで数万円以上のコストが発生します。一方、バーチャルヒューマンを活用すればモデルと契約する必要がないため、様々なコストを削減できます。

永久的に使用が可能

2つ目のメリットは、永久的に使用が可能な点です。まず、企業の広告に人間のモデルやタレントの写真を使った場合、その写真が永久に使える訳ではありません。なぜなら、モデルやタレントを起用した写真や映像には肖像権使用期間が存在するからです。肖像権とは、本人が許可していない場合は自分の姿を無断で撮影したり、公表されない権利を指します。そして、肖像権があることから、人間のモデルやタレントを起用した場合は3か月や半年、1年などの期間を限定した契約形態になります。一方、バーチャルヒューマンは人間のモデルと異なり、永久的に使用可能です。肖像権は人間にとっての権利ですので、バーチャルヒューマンは肖像権を考慮する必要がないからです。

また、人間のモデルやタレントは時間が経てば歳を取りますが、バーチャルヒューマンの年齢は基本的に変わりません。これも永久的に使用が可能な要因の1つです。例えば、10代向けのファッションブランドなどでは、ターゲット層に合わせて10代の若いモデルを起用する必要があります。このような若者向けブランドでは、モデルが歳を取ってしまうと商品やターゲット層とのギャップが出てしまうため、定期的にモデルを変えなければいけません。一方、バーチャルヒューマンであれば常に同じ年齢を維持できるため、永久的にモデルとして使用することが可能です。

センシティブ利用可能(モデル許諾が不要)

バーチャルヒューマン活用の3つ目のメリットは、センシティブ利用も可能な点です。センシティブ利用とは「扱いに細心の注意を要する」という意味で、モデル本人や関係者が不快に感じる可能性がある利用の仕方や表現方法を指します。どのような表現を不快に感じるかどうかは人それぞれの感性により異なるため、明確な基準を作ることが難しいです。そのため、モデルの写真や映像を使用する側が配慮する必要があります。仮に、センシティブ利用に該当する可能性がある場合はモデル本人や関係者に許諾を取ることになります。

一方で、バーチャルヒューマンはセンシティブ利用できる範囲が広い傾向にあります。例えば、センシティブ利用の代表例として病気や薬に関連した題材での利用、特定の宗教・政治に関連した題材での利用、たばこや消費者金融などでのイメージ使用などが挙げられます。このようなセンシティブ利用を多くの写真素材提供サイトなどでは、禁止行為の一つとして定めています。バーチャルヒューマンも公序良俗に反する方法での利用は禁止されていますが、利用範囲は広いです。そのため、センシティブ利用の条件が厳しい人物モデルとの契約が難しい業種でも、バーチャルヒューマンなら利用できる可能性があります。

スキャンダルリスク回避

4つ目のメリットは、スキャンダルリスクを回避できる点です。まず、実在のモデルやタレントを企業広告に起用した場合、スキャンダルで様々な損害を被る可能性があります。例えば、過去のいじめや不適切発言、薬物使用や不倫などのスキャンダルが発覚した場合、巨額の損害賠償金を請求されたり、活動休止に伴うモデルの差し替えが必要になるケースもあります。また、スキャンダルが発覚したモデルやタレントを起用している企業自体のイメージも低下しかねません。モデルやタレントも人間ですから、人生において過ちを犯してしまうこともあるでしょう。しかし、企業は自社および商品のイメージを向上させるためにモデルやタレントを起用する側面もあるため、イメージの低下や金銭的な損害に繋がるスキャンダルを見逃すことは難しいです。

一方、バーチャルヒューマンは実在しないモデルの為、スキャンダルを起こすリスクがありません。スキャンダルを起こしたかのように見せるフェイク動画が作られる可能性はあっても、バーチャルヒューマン自身がスキャンダルを起こす可能性はほぼありません。そのため、スキャンダルリスクを回避することができます。

メタバース空間での企業戦略とは?

バーチャルヒューマンの活用を考える上で、重要となるのがメタバース空間です。メタバースとは「超越した」という意味のMetaと「宇宙」という意味のUniverseを組み合わせた造語です。明確な定義が存在する訳ではありませんが、一般的にメタバースはアバターを通じてユーザーが交流したり、仕事をしたり、遊んだりできるネット上の仮想空間のことを指します。そんなメタバース空間に企業も注目しており、メタバースへの参入を表明する企業も増えています。では、メタバース空間でのバーチャルヒューマン活用の企業戦略にはどのようなものがあるのでしょうか。

バーチャルヒューマンを利用した接客

メタバース空間での企業戦略の1つとして挙げられるのが、バーチャルヒューマンを利用した接客です。バーチャルヒューマンを利用した接客では、メタバース空間内でアバターをまとったユーザーに対し接客を行います。ユーザーとのやり取りは、AIによる自動会話システムで対応可能です。また、人間のスタッフがバーチャルヒューマンをアバターとして動かし、接客するスタイルもあります。このような新しい形の接客に対するニーズは高まっていくと予想されます。なぜなら、近年新型コロナウイルスが猛威をふるい、黙食やソーシャルディスタンスなどニューノーマルな生活様式が広がっていく中、非接触型の接客のニーズが高まっているからです。

一方で、長引く自粛生活の中でコミュニケーションが減り、孤独や不安を感じている方も増えています。こうした孤独や不安を解消するために、オンラインでのコミュニケーションの需要が高まっています。実際、「株式会社ナナメウエ」の18歳〜22歳の男女を対象にした調査でも、約7割がコロナ禍で孤独や不安を感じていると回答しています。そして、バーチャルヒューマンを利用した接客は、非接触型の接客に対するニーズとオンラインでのコミュニケーションに対するニーズ、双方を満たせる可能性を秘めています。

バーチャルヒューマンによる商品紹介

バーチャルヒューマンによる商品紹介も、メタバース空間での企業戦略の1つです。バーチャルヒューマンによる商品紹介では、バーチャルヒューマンのスタッフがメタバース空間内にある店舗などで商品紹介を行います。スタッフの商品紹介を聞いて、あれこれ悩みながら商品を選ぶという行為はリアル店舗での買い物と同じです。このように、メタバース空間でリアル店舗に近い購入体験を提供できるのが、バーチャルヒューマンによる商品紹介の強みです。

既にバーチャルヒューマンによる商品紹介に力を入れている企業があります。それが大手百貨店の三越伊勢丹です。三越伊勢丹はメタバース空間「REV WORLDS(レヴ ワールズ)」を運営しています。「REV WORLDS」では新宿東口周辺の一部エリアと伊勢丹新宿店が再現されており、メタバース空間内の伊勢丹新宿店で買い物も可能です。また、「REV WORLDS」では実在のバイヤーがおすすめのワインを紹介するバーチャルワインイベントなど、実店舗と連動したイベントも開催しています。

本物と見分けが付かない!バーチャルヒューマン

CGで作られた実在しない架空の人物であるバーチャルヒューマンは、2010年代後半頃から広告などに登場していました。そこからバーチャルヒューマンの制作会社も増え、近年では本物の人間と見分けが付かない程、クオリティが高いバーチャルヒューマンも登場しています。一方で、CGとは異なるアプローチのバーチャルヒューマンも登場しています。そこで、ここでは様々なバーチャルヒューマンの中から「imma」と「INAI MODEL」の2つをご紹介していきます。

本物と見分けが付かない!「imma」

ピンク色の髪の毛が特徴的なバーチャルヒューマンのimmaは、日本初のバーチャルモデルとして誕生しました。2018年7月にインスタグラムのアカウントが開設され、そのフォロワー数は30万人を超えています。immaの活動は幅広く、ファッション誌の表紙を飾ったり、コスメブランドのCMで実在の女優と共演したりと人間のファッションモデルと同じような活動を展開しています。そんなimmaの魅力は、本物の人間と見分けが付かないほどのリアルさです。リアルさ故に、immaがメディアで活動を始めた当初はネット上で「CGに見えない」と話題になったほどです。インスタグラムに投稿された写真も、実在する若い女性が実際に投稿をしているかのようなリアルさがあります。

では、なぜCGで作られたimmaがリアルに見えるのでしょうか。その秘密はimmaの制作過程にあります。immaは頭部はCGで制作されていますが、体や背景は実写で撮影したものを合成して作っています。そのため、全体で見ると違和感なくリアルに見えます。また、immaはAIによって動いている点も特徴です。immaの制作は声や操作を担当する、いわゆる「中の人」がいないことを前提にしているため、何を話すかもどう動くかもAIの制御に任せています。日本ではアニメ調のデザインで作られたバーチャルYouTuber(VTuber)も人気ですが、VTuberは中の人が声や操作を担当しています。immaは、このような中の人がいるバーチャルなキャラとは異なる存在と言えます。

imma

参照:https://aww.tokyo/

AIが生成する存在しないモデル「INAI MODEL」

「INAI MODEL」はAI画像生成システムにより、存在しない架空のモデルを作り出し、販売するサービスです。「INAI MODEL」はストックフォトサイトを運営するイメージナビ株式会社がAIベンチャーのデータグリッドと共同開発したもので、実在のモデルにありがちなスキャンダルや肖像権関係のトラブルを気にせず、利用できるのが強みです。日本人はもちろん、外国人モデルまで幅広い人物画像の生成が可能ですので、顧客の様々なニーズに対応できます。

また、コストを大幅に削減できる点も大きな強みです。バーチャルヒューマンはCGで作られたタイプが多いですが、CGの3Dモデル制作にはかなりのコストがかかります。例えば、オリジナルの3Dモデルの制作を企業に依頼した場合、50万円〜数百万円かかるとも言われています。人型の3Dモデルは工数がかかるため、どうしてもコストが高めになるからです。一方、「INAI MODEL」では3Dモデルを制作する必要がありません。そのため、コストの大幅な削減が期待できます。「バーチャルヒューマンを使ってみたいけど、3Dモデルの制作コストが気になる」という方に、おすすめサービスと言えるでしょう。

3DCGで作成した場合と比較すると、圧倒的にコストが安い事、大量に制作する事が可能です。
INAI MODEL公式サイトはコチラ

INAI MODEL
INAI MODLE

まとめ

バーチャルヒューマンには、コスト削減やスキャンダルリスク回避など様々なメリットがあります。また、バーチャルヒューマンは様々な企業から注目されているメタバース空間で活用できる点も強みです。3Dモデルの制作費などコストが気になる方もいるかもしれませんが、「INAI MODEL」のように比較的低コストで始められるサービスもあります。コストが気になる方は、まず「INAI MODEL」に問い合わせてみることをおすすめします。